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- 拍卖号: d1227583200
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1 序論
(1) オリジナル
1800年代初頭にこのプロットを発明したのはフランスのマジシャン・アルベルティだと言われ、最初に英語で文章化されたのは、1885年のプロフェッサー・ホフマンの「Drawing Room Conjuring」であると言われる。19世紀頃には、このマジックはトップチェンジやパスを駆使して演じられていた。1800年代後半のモローのセカンドディールなどもこのラインに沿うものである。
しかし、トップチェンジやパスは膨大なミスディレクションワークが必要な技法である。
照明のレベルが低く、クロースアップといっても比較的遠くから見られていた時代は、それでもよかっただろうが、現代では、これらの技法を駆使する手順はずれた発想になりかねない。
私もトップチェンジやパスはカウンターショー以外ではほとんど使用しない。
しかも、使用する場合は、その動きが演技の一部になりうる場合や、確実なミスディレクションが掛けられるときに限定されるのが普通だ。1920年代のダブルリフトの発見はカードマジックの世界に革命をもたらし、完全にこのマジックと融合した。
発明当初、ダブルリフトは“インビジブルパス”と呼ばれていたことからもパスの代替技法とて演じられていたことが理解できる。以後、デプスイリュージョン(ティルト)その他の有効技法の開発によって、このマジックは著しく進化した。
(2) 現実的な手順構成パターン
サーストンの三原則のひとつに、同じ現象をくり返してはならないというルールがある。
退屈さの喚起と手法の隠蔽に大きな理由があるならば、同一現象が繰り返されることで成立しているアンビシャスカードでは、せめて、同じ手法を使わないようにすべきだろう。
結果として、手順は「上昇する波」のように徐々に盛り上がってゆかなければならない。
とすれば、構成方法は限定されてくる。
毎回違う手法を使うことにより、トリックの隠蔽を深化させるとともに、バラエティーに富むような効果も期待できる。同じ現象をくり返す動機も必要になる。
つまり、それぞれのテストに別の意味を与えるべきである。今回はこう言う理由があるのでこういうやり方を試みる、今回はこう考える人がいたので、このように演じてみる…というように、毎回演じ方を変える動機も変更しなければならない。
アンビシャスカードの場合は決定的なクライマックスを持っていないので、単に最後の1回のテストを終えて停止するだけでは効果が弱い。松田道弘氏は氏の天海賞の作品集の中で、余分なクライマックスを特に追加する必要はないと言っているが、決定的なクライマックスを持たず、同一現象が繰り返されることで成立しているマジックは人工的にクライマックス(一種のディレイドクライマックス)を付加してやる必要があるかもしれない。
この現象はあくまでデックの中に入れたカードがトップから現れる現象である(例外的に、バラエティーを付加する目的でボトムから出現したり、反転したりすることもあるが…)。この「明快さ」を崩さないために、原則として、シャッフルは使用すべきではない。
現象を明快にするためには、観客が確実に認識できる段取りを踏まなければならない。したがって、マジシャンの都合による複雑な動きは原則として総て排除されなければならないだろう。
最初の1回目はどういう現象なのかを説明するためのテストならば、まだカードにサインをさせる必要はない。また、カードを観客に選ばせる理由もない。ということは、影武者の原理をふんだんに利用できる機会があることになる。
2回目以降は同じカードを使用していないことを証明するためにサインをしてもらう。
カードもこの時、観客に選んでもらうとよいだろう。
パスやトップチェンジのような技法は回避する。多量のミスディレクションを伴うパスやトップチェンジはこのような演技に於いては実践的ではない。頻繁に使われているダブルリフトやティルトの使用回数も最低限に止めるように配慮する。
どうしてもくり返しダブルリフトやティルトを使わなければならないならば、トップからの表し方に工夫をする。例えば、動きを徐々に大きくなるように、通常のダブルリフト→→フリップアップ→スローモーションライズ→ロイ・ウォルトンのアンビシャスムービー→アップザフォール→フレデリック・ブローのポップアップムーブという具合に、毎回トップからの表し方を変えて、次第に派手になってゆくようにする。
反復される手順は、観客の生じる疑問にひとつずつ答える形にするのが理想である。
観客が思い浮かべる疑問は、「同じカードを2枚使っているのではないか、または、特定のカードでしかできないのではないか」、「ちゃんと入れているのか」、「演者が自分で入れるのではなく、観客に好きなところに入れさせられないのか」、「2枚かさなっていないか」、「密かにカットしていないか」、「密かに抜いて上に置いているのではないか」の6つである。ということはこれら総ての疑問を解消するためには最低6回くり返さなければならないことになる。
その組み合わせは臨機応変だが、観客から発せられる疑問は有限であり、事前に想定できる質問に対してどの技法を使うかを決めておき、機敏に反応できなければならない。ダローが「ジャズのように手順をその場で構成することができる…」と言っているのは、恐らく、その意味であって、勝手にアドリブで何回かやればよいということではないことは間違いないだろう…。
どんな曲にもコード進行はちゃんとあるものだ。
【解説技法リスト】
1 ダブルリフトとその周辺
①フーディーニ・フーラー(バーノン) ②ギャフなしのフーディーニ・フーラー
③センターダブルリフト(ジャック・エービス) ④スナップドダブルリフト(ラリー・ジェニングス)
⑤基本のトランスファー(ナート・ライプチヒ) ⑥アンビシャスダブルディール(アイリー・ウェイナー)
⑦ポップアップ(フレッド・ブロー)
2 チェンジとその周辺
①アナビシャス(マーロー) ②レイヤーオブコンビクション(マイケル・ウェイバー)
③ティップオーバーチェンジ(ジャック・マーリン) ④トップチェンジコントロール(クロダ)
⑤プッシュインチェンジ(ロタバーグ、ブロー) ⑥アウトジョッグチェンジ(アル・ベーカー等)
⑦テーブルドアンビション(フィル・ゴールドスティン) ⑧ダブルワーモ ⑨デイリーリッパー(ジェイコブ・デイリー)
⑩ペイントブラッシュチェンジ(スタンリー・コリンズ) ⑪ボトムトップチェンジ(ブロー)
3 ティルトとその周辺
①ティルト&ターン(ダロー) ②ティルトレスティルト ③ロープド(ギミックなし)
④ナッシングチェンジ(リック・アンダーソン)
4 スプレッドカル (ホフジンサー)によるビルディングなど
5 パーム・サイドスティールの周辺
①アンビシャスミラクル(マーロー) ②フィンガーチップカラーチェンジ(マーロー)
③ライズライズライズ(マーロー)の基礎解説
6 パスの周辺
①ブラフパス(ル・ポール) ②スプレッドパスの応用(ウェイバー) ③カバーパスとステップライズアップ
7 サトルティー
①トッパー(ガルシア、ビル・スプーナー) ②即席デュプリケーションの概念
③トップからの顕し方の例(ロイ・ウォルトンのアンビシャスムービー、スローモーションアニメイトライズ、アップザフォール等)
8 ショートルーティン
①デデューザー ②シンアンビシャス ③ブランクフィナーレⅡ


